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特別寄稿「日本薬学教育学会の発足と国際薬学連合Education Initiative(FIPEd)との連携」

2016年09月30日 18:28 by Ijyuuinn_manabu

日本薬学教育学会の発足と国際薬学連合Education Initiative(FIPEd)との連携

― 脱プソイド薬剤師とPharm.D.実現の先導を期待 ―

(公社)日本薬剤学会「医療ZDと完全分業」FG(Focus group)代表 永井 恒司

(注)標記の"プソイド薬剤師”について、薬学出身者は、”プソイド”が"疑似”を意味することを知っている。

完全分業国の眞の薬剤師と、「医師の調剤容認国」である日本の薬剤師(”プソイド薬剤師")」とはステータスに雲泥の差がある。

1. 日本薬学教育学会は、国際薬学連合(FIP)Education Initiative (FIPEd) との強固な連携により、日本の薬学・薬学教育の国際化を強く推進

2016年8月27日、日本薬学教育学会が設立された。

国際的には、国際薬学連合(FIP)は、従来Science部門とPractice部門が融合して活動する組織であったが、更にEducation部門(FIPEd)が加わり、薬学の「科学」、「職能」、及び「教育」の3本柱による理想的な薬学の体系が形成されることになった。

FIPEd の最初の学術集会として、第1回FIP Global Conference on Pharmacy and Pharmaceutical Sciences Educationが2016年11月8-9日に中国南京市で開催される。年を一つにして薬学教育を考える学術集会が国の内と外で開催されることは極めて意義深いと言える。

日本薬学教育学会の設立に関する新聞記事(薬事日報2006年8月29日)には、国際関連の記述は見当たらず、また当該学会のホームページでも同様に見当たらないが、当該学会世話人会か、取材記者のどちらか(あるいは当方の見方)の何らかの落ち度により不正確な記述となったのではないと推察する。

いずれにせよ、FIPEdとの連携が、当該教育学会の今後の発展のために極めて重要であることが触れられていないけれど、昨今の国際化の怒濤を決して無視したからではないと信じている。

日本の大学教育の一般的特徴として、卒業したら直ぐ役立つ人材を養成するのが主目的であると言える。

一方アメリカでは、日本でいう卒業をCommencement(始まり)と呼ぶように一般教育を重視し、専門教育は後期(3年次)から行い未完のまま大学を修了させるが、この方が独創力と人間力が豊かな人材が養成出来る、と考えられているように思う。アメリカでノーベル賞が続出する理由はここにあるという説もある。

日本は、第2次世界大戦後、このアメリカの一般教育重視の教育制度を導入したが、現在それを維持している大学は僅かで、1年次から一般教育に併せて専門教育を行っている大学がほとんどである。

日本の薬学は、科学技術面では一級になったが、冒頭注に記したように「医師の調剤」容認のもとでの薬剤師であり、そのステータスは先進国の中で最低であると言える。それに付随して発達した日本独特の薬学は国際的に異例で、例えば、日本薬学会と姉妹関係にあるドイツの薬学会は「医師の調剤」を容認していない。そして、それによって薬科学研究が停滞するという情況も生じていない。

日本の薬学が、将来独創力と人間力が豊かで、世界人類の幸せに貢献する薬科学者・薬剤師を続々輩出するには、アメリカ式に一般教育を重視し、Generalistである上に卓越したSpecialistを教育することが大事である。

それには「医師は処方し薬剤師が調剤する」人類の英知の所産である「完全分業」のもとに構築された薬学の原理原則を最優先に受け入れねばならない。

これを飛び超えて、薬剤師の日常業務の便宜性への対処を先行させる現状の「本末転倒」の薬学文化から離脱しなければならない。そのために、日本薬学教育学会の貢献が大いに期待される。

2.国際的に異例な”プソイド薬剤師”からの脱出―"プソイド薬剤師”と真の薬剤師とはステータスで雲泥の差があることを多くの薬剤師が認識する

日本の薬剤師の業務内容に関する著作や講演を見聞すると、その活動内容は、質的にも量的にも先進国の中で、第一級であると言える。

しかし、既述および後述のように、日本の薬剤師だけが、先進国の中で、唯一のプソイド薬剤師(疑似薬剤師)で、最低のステ-タスである。しかも、日本のリーダー格の薬剤師自身がそのことに触れたがらなない(例えばNHK放送大学特別講義)。

それは、紛れもなく身分詐称であって、むしろ明確に公言して広く知ってもらい、それを解消して世界先進国の薬剤師に肩をならべられる地位を目指して邁進すべきである。"プソイド薬剤師"という呼び方に抗議するには、この事実を真っ先に解消してからでなければなるまい。

その身分詐称の詳細は、医師法第22条、歯科医師法第21条及び薬剤師法第19条各条の正文の後半部分の例外規定(但し書き)に触れないことである。この部分が日本の薬剤師と世界先進国(日本を除く)の薬剤師との違いを示す致命的な事項であり、これを廃止削除することで全てが解決することを強調したい。

上記の3条文を精読すれば解るが、本来薬剤師だけに許される"調剤"に関し、医師は薬剤師と同等の処理能力があると見做され、無免許でそれを実行出来るのである。その結果、日本の「薬剤師は医師が居れば要らない」ステータス(プソイド薬剤師=疑似薬剤師)である。このことを、昔から薬学教育で学生に正確に教えて来ていれば、日本の薬剤師事情は大きく変わっていたと考えられる。

プソイド薬剤師であろうと、先進国並みの真の薬剤師であろうと、差は無いと考える日本の薬剤師が多いように思うが、実に甘いのではあるまいか。まず、メンタルな面で、「医師が居れば要らない薬剤師」では、自分の職能に誇りを持つ土台が強固たるものではない。

また、完全分業国のように薬剤師は医師と対等ではなく、従属者であるため、薬剤師の最重要業務である「処方監査」・「疑義照会」を始め、医療への最善の薬学的参加が保証されない。このようなことは、FIPに参加して欧米先進国の薬剤師に接した経験のある者なら痛切に感じているはずである。

3.薬学教育6年制の実施及び薬剤師研修センターの確立により薬剤師の職能レベルは完全分業先進国と同等以上を達成 ― しかし依然「医師の調剤」容認

過去に於いて、1874年、明治維新により導入された「医師は調剤しない」(完全分業)が、1889年に「医師の調剤」容認に変換した理由は"薬剤師不足”であった。

1950年米国占領軍の指導で策定されて国会に提案された「強制医薬分業法」が廃案になった理由は"薬剤師の職能不十分”であった。いずれも、完全分業そのもが"悪”であるとして否定されたのではなく、派生する問題を先行させた"本末転向”の決めつけであった。以来、薬学教育6年制の実施(2006年度入学生より)及び薬剤師研修センターの確立(1989年説立)が強力に進められ、"薬剤師不足”及び"薬剤師の職能不十分”という理由は解消している。

しかし、「医師の調剤」の容認は未だに維持されている。その国際的に納得できる理由は明示されていない。

「医師の調剤」は、薬剤師による「処方監査」即ち"医薬安全保証”のための機構は具備されていない。従って、「医師の調剤」を容認する日本は、医薬の安全第一の文化が低劣であると結論づけられる。

つまり、経済に関しては第一級でも、社会の成熟度(民度)は低く、とりわけ国民の生命と健康を護るための「医薬の安全保証」に間係する薬剤師のステータスが先進国の中で最低であり、とても文化国家とは言えない。日本で、薬学以外に、その従事者のステータスが先進国中最低であると言える領域が在るとしたら知りたい。

4. アジアに於けるPharm.D.の実現に日本薬学教育学会の先導に期待

この問題の検討は日本薬剤学会理事会にも提案していることであるが、完全分業の達成と並ぶ大問題であり、オール薬学者・薬剤師の悲願でもある。

最近のアメリカの一大学のニュースレターに、日本の卒業式に当たCommencementのことが載っているが、6年制薬学終了者全員をPharm.D. と呼び、その人数が他学部修了者とともに記載されている。これはアメリカで、すでにPharm.D.制度が定着していることを示している。

2014年6月、東京で開催された第3回AASP Deans Forum(アジア薬科大学協会学部長討論会) で、タイの薬学部でもPharm.D.制度確立が切望されているが、何としても日本にリードして貰いたい、という強い要望があった。

日本では、過去にこの問題が議論されたことがあったが、断ち切れになっていて、国際的に日本が足を引っ張っている印象を与えている。日本はアジアにおける先進国であり、他国のことも充分に考える責任があることを認識しなければならない。

日本薬学教育学会は、教育のカリキュラムのブラッシュ-アップと、薬剤師のステータスの向上を互いに密に結びつけて考え、日本の薬学・薬剤師のステータスを先進国中最低(プソイド薬剤師)から最高(真の薬剤師)に持ち上げることに貢献していただきたい。

最後に、薬学の教育は大学薬学部に限らない。

薬剤師生涯教育の他、「生命と健康」を護る薬学社会教育及び初等薬学教育(学校薬剤師による)まで含め、日本薬学教育学会には従来には無かった大きな役割を果たしていただきたい。

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