フランス現地視察「PHARMGORA PLUS 2016」
【視察日】2016年4月2日、3日
【開催場所】Parc des Expositions HALL3にて
100を超えるブースがあり、白衣、介護関連商品、書籍、ネオンサイン、身体測定機(体重・体脂肪)、処方箋受付BOX、一包化機械、一包化監査機など、さまざまな薬局に 関連した商品が紹介されていた。
ネオンサイン会社の展示
処方箋受付箱BOX
白 衣
身体関連測定機
【一包化関連】一包化の機械や監査機は、どれも大型である。これは、欧州ではセントラル方式で一包化されているため、小型化する需要がないことを示唆している。セントラル方式とは、日本のように各々の薬局で一包化を受け付けるのではなく、一包化機械を導入している大型薬局(各地域に数店舗)が一包化をし、それを各薬局へ届ける方式である。
また、一包化のサービスは、ナーシングホームに特化されてなされている。PTPを開封するということは、それなりの厳格な施設基準が必要と考えられているため、一包化する薬局はGMPの基準をクリアしている。
本展示会の監査機は、オランダ製のものが多かった。一包化の機械:カセット数は300くらい、カセットにないものは3種類まで対応可能だ。
一包化監査機
一包化監査機(TOSHO)
【服薬管理】ナーシングホーム等での使用を想定した服薬管理機械(機械名:eBOX)は、服薬する時間を押すとその時間に服用すべき薬が出てくる仕組み(機械の中には既に一包化された薬をセットする)。
服薬管理機械(機械名:eBOX)
【医薬品供給管理システム】 ロボット化が進んでおり、医薬品供給業務や在庫管理をシステム化することで、薬剤師やテクニシャンの負担やミスを軽減するような機械の展示が多かった。
世界的にペイシェントパッケージ調剤(箱出し調剤)が主流であるため、箱単位での管理を容易化するために、このような機械が開発されていると考えられる。
どの会社の機械も、次のような仕組みであった。①タッチパネル式の画面で医薬品を選択すると②内部の機械が作動し、選択した医薬品を取り出してくれる(数秒程度~。タッチパネル式商品陳列画面(左右にスワイプすると画面が変わる)。
まるで未来の薬局陳列風景のようだ!
タッチパネル式の画面機械外観
内部の機械が作動し選択した医薬品を取り出してくれる(数秒程度)
タッチパネル式商品陳列画面(スワイプで画面が変わる)
【推奨医薬品表示システム】①初期画面で人型イラストが表示され、医薬品購入者の不調がある部分をタッチ、次画面で「痛み」「しびれ」などの不調症状をタッチする。②-①で選択した症状に合った薬が表示される③希望の医薬品を選択するとレシートが出てくるので、それを薬剤師に渡すと医薬品が購入できる。
人型イラスト
希望の医薬品を選択するとレシートが出てくる
筆者は今回の視察が初めてであったが、本年のPharmagoraは、例年に比べ規模やバリエーションが少なかったと聞いた。
特筆すべき点は、薬局経営コンサルタント会社の展示が散見され、薬局経営がうまくいっていない、もしくは先行きの経営不安が反映されている現状の薬局からの「変化」が求められていると推測した。
また、これからの時代は、患者(エンドユーザー)が自ら医療や治療薬を選択していくのではないかと邪推してしまった。
医療現場における父権主義は廃れて久しいが、だからと言って、患者による完全自己決定型医療には同意しかねる。
命にかかわる重大なかつ困難な選択を患者がすることで、その選択の代償として責任やジレンマを患者自身が負うことになるからだ。
医療者は患者の立場に立ち、選択肢を減らし、あるいは平易に説明し、医学的見地から意見を述べるべきである(無論、利益重視による誘導は抜きである)。
機械メーカー側は、終始あくまで薬剤師の指導のもとの販売だと言っていた。これを安堵と受け取るか、危惧と受け止めるかは意見が割れそうだが、どちらにせよ、今後、薬剤師としての真の存在価値が問われる時代になりそうだ。
近い将来、医療の情報化が進んでいき、調剤業務の合理化が浸透されていく中で、われわれ薬剤師でしかできない業務(職能)を守っていくことが大切である。
それは、残薬管理、副作用の早期発見、地域貢献活動、HMRなど、「住民のために」をモットーに医療人としてのモラルと責任を常に持った業務である。
国民や国に、薬剤師不要のレッテルを押されぬよう日々邁進あるのみ。それ以外、薬剤師・薬局の未来はないだろう。
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