偽造医薬品問題と欧州における医薬品流通管理
はじめに
偽ハーボニーにゆれる日本の薬局であるが、医薬品安全のための流通管理に問題は無いのだろうか?
確かに今回の「事件」の背景には、問題意識の薄い(金儲け至上主義の)薬局経営者の存在にも問題の一端があるのは確かであろう。
製薬企業の間では、明らかに現金問屋や国外に横流しすることを目的に、実際の患者数以上の製品を購入する薬局があることが知られており、ブラックリスト薬局の存在もうわさされている。
あやしげな製品を購入した薬局も確かに問題であるが、偽造薬のもととなる製品を「横流し」した薬局の存在も強く疑われる。
日本では、これまでインターネット上で流通する医薬品以外、偽造医薬品についてはあまり問題にならずにきていた。
今回のような薬局における問題だけでなく、様々な手段で偽造医薬品が日本に持ち込まれる危険性がある。
今回のハーボニーもそうであるが、高額医薬品が増加していくと偽造医薬品のリスクはさらに高まっていくであろう。
偽造医薬品(Counterfeit Medicinal Product)は世界的な問題であり、WHOによれば発展途上国では10~30%が偽造医薬品であるされている。
一方、陸続きの国境を接する欧州でも偽造医薬品のリスクは高く、偽造医薬品問題はかなり以前から議論されてきた。
欧州では、「偽造医薬品」を「流通経路の記録改ざん」を含む「Falsified Medicinal Product」という用語に再定義しているが、偽造医薬品から消費者を守るためのシステムを2019年から稼動させる予定である。
今回は、欧州における偽造医薬品防止のための医薬品流通管理システムについて解説する。
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