第2回「世界の薬学教育の現状とこれから」
城西国際大学薬学部 山村重雄
薬剤師として活躍するまでの道筋は国によって違いますので、一概に述べることはできないのですが、大雑把に言えば、薬学部を卒業する→薬剤師の国家試験に合格する→実務で訓練を受けて登録(Registered Pharmacist)薬剤師となる→薬剤師として働き始める→卒後教育を受けてスキルアップをはかりつつ登録薬剤師を維持する。というシステムで薬剤師としてのスキルを高めていきます。
日本では6年制の薬学部・薬科大学を卒業して、薬剤師国家試験に合格すれば薬剤師です。それ以外に特に要件はありません。極端に言えば「薬剤師になってしまえば自らが努力しなくても薬剤師として働き続けることが可能」です。
薬剤師になっても、最新の医療環境に適応するには日々の研鑽は必須であり、卒後教育の重要性は誰もが認めることと思います。
国家試験に合格したばかりの薬剤師と10年間薬剤師で働いた薬剤師では、薬剤師として提供できるケアの内容が大きく違うのは当然です。いつまでも薬剤師になった時のようなケアしか提供できないようでは、患者の安全を守ることはできません。その意味では、薬剤師になるまでよりも、薬剤師になってからの能力開発がより重要になってくると思います。
大学教育に関しては、ガイドラインによって学ばなければならない内容が決められていますが、卒業後はありません。
日本語で薬学教育というと大学での教育を指すことが多いのですが、もっと卒後教育に注目した薬学教育を考える必要があるように思います。
大学では試験をしてその成績を見て学力がついているのを評価することが可能です。しかし、薬剤師の能力が向上していることをどうやって評価したらよいのでしょうか?
そんな方法があるのでしょうか?
読者コメント