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特別連載2 「上田薬剤師会が考える健康サポート薬局ビジョン」

2017年02月24日 14:49 by hatty100
2017年02月24日 14:49 by hatty100

【健康サポート薬局とは】

今回の健康サポート薬局の定義ですが、『健康サポート薬局のあり方について』には「健康サポート機能を有する薬局は、かかりつけ薬剤師・薬局の基本的機能を備える必要がある」。すなわち、かかりつけ薬剤師のいる薬局でなければならない」と、健康サポート薬局と標榜する前提にかかりつけ機能が必須であると規定されています。

① 服薬情報の一元的な把握とそれに基づく薬学的管理・指導
② 24時間対応、在宅対応
③ かかりつけ医を始めとした医療機関等との連携強化

以上の3点をかかりつけ薬剤師・薬局の基本機能として兼ね備える必要があります。

ここで、話を上田薬剤師会にフォーカスします。

上田薬剤師会がある上田小県地域は、総人口約 20 万人(2015 年)、面積905 ㎢、人口密度は 223 人/ ㎢、医療機関の数が約300の地方都市型二次医療圏です。

上田城跡公園

薬局数は104軒あり、うち会員薬局は89軒です。

会員数は約300人で、薬局薬剤師、病院、行政、卸や製薬会社などの会員から構成され、組織率は約95%です。

1970年代から日本における医薬分業の先進地域として地域密着型の薬局群が形成され、「かかりつけ薬剤師・薬局」が住民たちに浸透しています。

これを裏付けるデータがあります。

当地域の医薬分業率は約90%であり、上田薬剤師会会員薬局の平均受付医療機関数は約83/月です。

また、平均備蓄医薬品数は約1,800品目(全国平均約990品目)、一般用医薬品及び衛生用品や介護用品等を含めた平均取扱品目数も200品目(全国平均約50品目)を超えています。

特筆すべきは、集中率(1つの医療機関からの処方せん受け取り率)です。全国平均約75 %に対して、上田薬剤師会では約35 %です。

また、データでは全国の調剤薬局のうち約4割が集中率90%超の薬局ですが、上田薬剤師会ではわずか1%です。

  
注:全国平均のデータは、平成27年度老人保健健康増進等事業「地域包括ケアシステムにおける薬局・薬剤師による薬学的管理の向上及び効率化のための調査研究事業」(みずほ情報総研)より

そのほかにも、大和綾瀬薬剤師会が実施した住民アンケート比較調査で、「処方薬の交付や市販薬を購入する薬局を決めている」との回答は、上田では71.1%(大和綾瀬:45.2%)であり、「健康相談する薬局があるとのこと」との回答は、上田では62.4%(大和綾瀬:26.7%)というデータからも、他地域よりもかかりつけ薬局が住民に浸透しており、薬局が健康相談できる身近な存在として機能していることがわかります。


このような上田薬剤師会式医薬分業が実現できた理由について飯島会長は、「河合操先生を始めとする先代の上田の薬剤師たちが五十数年の長い年月をかけて、住民のために『自分たち薬剤師ができることは何か』とプロフェッショナルの矜持を持って活動してきたこと、そして、住民目線の精神で活動することを上田薬剤師会がサポートし、新任の薬剤師たちに継承してきたからでしょう」と述べております。

話を健康サポート薬局に戻しますが、健康サポート薬局は「健康サポート機能を有する薬局は、かかりつけ薬剤師・薬局の基本的な機能を備えた薬局のうち、地域住民による主体的な健康の維持・増進を積極的に支援する薬局である」と、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)上で定められました。

健康サポート薬局における求められている7つの要件を以下に示します。

(1)地域における連携体制の構築(2)薬剤師の資質(3)薬局の設備(4)薬局における表示(5)要指導医薬品等の取り扱い(6)開局時間(7)健康相談・健康サポート

各項目について詳しくは述べませんが、健康サポート薬局の7つの要件は、上田薬剤師会が継続的に行ってきた活動とほぼリンクしています。

では、具体的に健康サポート薬局につながるどのような活動を継続的に行ってきたかを簡単にまとめます。

①調剤偏重型薬局ではなく、一般用医薬品(OTC医薬品)を取り揃えファーストアクセスとしての薬局を標榜してきた。
②自分の薬局だけが潤えばいいではなく、研修会・勉強会などを通して薬剤師や地域薬局の質の向上を図ってきた。
③地域貢献活動(例えば、薬物乱用防止講座、薬草・ハーブに親しむ会、JA有線など)を通して、地域住民たちとの信頼関係を築いてきた。
④上田薬剤師会がバックアップ機能(平成5年より休日当番制・平成8年より夜間当番制など)を果たしてきた。
⑤海外における薬剤師活動を参考にして、使用済み注射針回収(平成15年より)、ブラウンバック活動である不要医薬品回収(平成20年より)を薬剤師会主導で事業を始めた。
⑥薬剤師の職能をアピールするために、新聞やマスコミを通じて、地域へ広報活動を行ってきた(地方紙の連載「薬剤師のちょっと薬に立つお話」など)
⑦住民目線の認定制度である上田薬剤師会認定基準薬局制度をスタートさせ、薬局サービス内容を地域住民へ周知するため8種類のピクトグラムステッカーを作成した。


    
上田薬剤師会認定基準をクリアした薬局だけ掲示できるグリーンクロス

薬剤師による地域貢献活動を活発にして、地域住民から薬局・薬剤師の役割を理解していただき、薬局にファーストアクセスとして頼ってもらえるように啓発しました。

それが、薬剤師への期待に変わり、その期待に答えるべく薬剤師も自己研鑽・地域活動を地道に重ねてきました。

薬剤師による努力の賜物によって、地域住民や医師たちなどからの評価・信頼につながったのです。

上記の活動は、現在も上田薬剤師会の薬剤師たちが継続的に行っており、薬剤師による健康教育(注1)が、地域住民のヘルスリテラシー(注2)の向上に貢献しております。
 
一薬局が頑張っても地域の医療の質は大きく上がりません。地域全体の薬局の質をあげることが、地域医療の向上につながると信念をもって、継続的に活動してきた結果、今の上田薬剤師会の地位があると思います。継続的に活動するには職能団体である薬剤師会の支えが不可欠です。企業はお金が稼げなければ事業から撤退します。無理だ、できっこないなどと多少なりと反発はありました。それでも、地域のために信念をもって活動すれば、住民や医師などの評価は必然的についてくるものと思います」と飯島会長は強調します。

注1:健康教育とは(「健康」と「教育」の意味再確認)
「健康」とは「環境に適応し、かつその人の能力が十分に発揮できるような状態」。予防や治療が重要であることに間違いない。ただ、その「先」を見ているのとそうでないのとでは、大きな差が出てくる。「教育」とは「人が社会で自立していくための支援」。教育を受ける側が「誰かに教えてもらった」と感じるのではなく、「自分で答えを見つけた」「自分で解決できた」と感じることにある。継続、習慣化させていく健康教育のあり方が問われている。

注2:ヘルスリテラシーの定義
・健康や医療に関する情報を入手し、理解し、評価し、活用するための知識、意欲、能力
・日常生活におけるヘルスケア、疾病予防、ヘルスプロモーションについて判断したり意思決定をしたりして、生涯を通じて生活の質を維持・向上させることができるもの
<引用元>ヘルスリテラシー「健康教育の新しいキーワード」福田 洋 江口 泰正 編著

【健康サポート薬局の研修について】

厚生労働大臣が定める健康サポート薬局の基準の一つに、研修修了薬剤師の常駐があります。

この健康サポート薬局に係る研修とは、技能習得型(8時間以上)と知識習得型(22時間以上)から構成されるものと「健康サポート薬局に係る研修実施要網」(薬生発0212第8号)に規定されています。

上田薬剤師会主催の健康サポート薬局に係る研修は、本年2017年1月よりスタートしています。

上田薬剤師会の研修で特徴的なことは.........

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