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速報!2016年インターフェックス ジャパン

2016年08月31日 18:08 by ht
2016年08月31日 18:08 by ht

2016年6月29日から7月1日までの3日間、東京ビッグサイトで2016年「インターフェックス ジャパン」が開催された。

インターフェックス ジャパンは国内最大級の医薬品:化粧品:洗剤:研究・製造技術展で、医薬品製造機器メーカーや包装メーカー、分析機器メーカーがブースを設置し、実際の機器を見ながら商談することができる。技術セミナーも開催されており、機器に搭載されている技術の紹介や業界の動向を知ることができるものだ。本レポートでは、本年度のインターフェックス ジャパンを速報する。

技術セミナー

新錠剤インクジェット印刷機の特長(SCREENホールディングス)
錠剤の表示については近年、成分名がカタカナで表記されていることが標準化されている。このため錠剤印刷技術には「より見やすい表示」にすること、「インクの安定性」が良好であることが求められている。より見やすい表示にすることに関しては、割線を認識して印刷することによって「分割した時にも情報が読み取れるようにする」「多色の印刷をすることでカラフルにする」「フォントを工夫することによって狭いスペースでも見やすい文字にする」ことといった技術を施している。

インクについては、顔料インク、染料インクのどちらも対応可能である。顔料インクは色材が水に溶けていないインクであり、表面で色が定着し、にじまないため素錠に適したインクである。染料インクは色材が水に溶けているインクであり、表面で弾かれずに色が内部に染み込んで定着するため、糖衣錠やフィルムコーティング錠に適したインクである。このため「素錠」「フィルムコーティング錠」「糖衣錠」のいずれの錠剤についても印刷が可能である。

初期に開発された素錠向けのインクには、光によって変色したり退色したりするという問題点があったが、インクの処方を改良することにより、色の安定性を向上させることに成功している。精密な印刷を施すためにはインクジェットヘッド、インクを吐出する力を最適化する必要があり、インクと機器、両方を開発しているからこそ最適化でき、鮮やかな仕上がりを実現している。

印刷の色を薄くする際、インクの処方を変更するとインクの吐出する力を最適化し直す必要が生じるなど手間が発生するが、インクの吐出密度を減少させることで吐出条件を変更することなく印刷することができる。

このような錠剤印刷技術の向上によって、薬剤師の処方監査負担の軽減に繋がり、また一包化された薬剤の把握に関しても、記号や番号より製品名の方がはるかに識別しやすく、在宅医療の場面や地震などの非常事態に手助けとなる。

APIの溶解性を高めるためのナノ粉砕(アシザワ・ファインテック)
難溶性薬物の製剤開発が求められている中、難溶性薬物の溶解度を高める手法として医薬品有効成分(API)の粉砕がある。粉砕することでAPI粒子の表面積を増加させ、溶解度を高めることが可能となる。

従来手法であるピンミルやハンマーミルといった粉砕機では5~10μm、ジェットミルでも2~5μm程度にまでしか粉砕できず、ナノ粉砕(10~400nm)を実現するには湿式のビーズミルが適している。ビーズミルにとって重要なものは粉砕メディアであるビーズであり、通常使用されているビーズ(直径30~2000μm)よりも小径のビーズ(直径数十~数百μm)を使用することにより、より安定したナノ粒子を製造することができる。

ナノ粒子化技術により、製剤開発が難しいと言われている難溶性薬物の開発が加速されることだろう。

錠剤生産性向上のための最新技術(HOLLAND)
ジェネリック医薬品選定基準に「安定供給」を挙げる薬剤師は多い。製剤の安定供給を担保するには、生産性を向上させることが重要である。錠剤の生産性を向上させる方法としてマルチチップ杵がある。

1本の杵先に1つのチップ(錠剤を成型する部分)がある杵を使用した場合、打錠機の最大回転数の80%の速度で打錠可能であるが、複数のチップを有する杵を使用する場合には、最大回転数の60%の速度で打錠しなければならない。このことから2チップにすることで1.5倍、3チップにすることで2.25倍製造効率が良くなる。マルチチップ杵を採用するにあたり、杵、臼以外の特別な装置は必要なく、導入コストが高くないことから非常に有用な方法と考えられる。

別の生産性を向上させる方法としては打錠トラブルを防ぐ方法があり、その1つとして杵の表面処理がある。HOLLAND社では杵の表面処理について12種類用意しており、どの処理が適しているのか評価するサービスも提供している。また杵のヘッド部を楕円形にして、通常のヘッド部が円形の杵よりも圧縮時間を延長し、打錠障害を回避することも可能である。

次に注目メーカーの最新技術情報を詳報する。

 

カナエ
1つ目の製品として立体PTPを紹介いただいた。従来の平面型のPTPシートではなく三角柱型にすることにより、PTPが持ちやすく、さらに押し出す際に力が掛けやすい構造となっている。非常に押し出しやすい形状であったが、かさばるという欠点がありこの欠点を克服できれば広く普及するのではないかと感じた。この他にも易開封技術についてお伺いしたが、構造が大きくなるほど力が掛けやすくなるため開封しやすくなるが、スペースが大きくなってしまうのが難点とのことであった。易開封技術は特に高齢者の方や手に力が入りにくい患者さんには重宝される技術であり、一包化によるPTP開封作業が必要な薬剤師の負担軽減にも繋がる。

2つ目に、PTP包装のアルミ箔について紹介いただいた。最近ではGS1データバーを印刷する必要があるため、酸化チタンを含んだ白ベタ印刷品を使うことが多いが、白ベタ印刷のアルミ箔を使用すると、カット時に刃を痛めるという問題がある。この問題を解決すべく開発されたのが、白ベタ印刷なしでGS1データバーが読み取れるアルミ箔である。酸化チタンを含んだ特殊コート層を有するアルミ箔であり、通常の白ベタ印刷のアルミ箔と比較すると単位面積当たりの酸化チタン量が少ないため、刃を痛める心配が軽減される。また、低温でシールできるアルミ箔についても紹介いただいた。これを使用することで従来品よりも低温でシールでき、ピンホール発生の防止が望める。

スタープラスチック工業
機能性包材を扱っている会社であり、1つ目に湿度吸着フィルムの紹介いただいた。これはアルミピローの内側に吸湿層を設けることにより、アルミピロー内部の湿度を吸収するものであった。湿度の影響を受けやすい製品について、現在はアルミピローの中に乾燥剤を入れるという手法をとっているが、湿度吸着フィルムを使用することで、乾燥剤の入れ忘れを心配しなくても良いとのことであった。紹介を受けた包材自体の価格が高く、乾燥剤の入れ忘れを防止するための対策がすでに実施されていることから、本用途での採用は難しいと感じた。次に帯電防止フィルムについて紹介を受けた。静電気を帯びやすい粉体などを包装するのに適しているのではないかと感じた。

フロイント産業
1つ目に連続造粒装置を紹介いただいた。この装置は原料を一定速度で供給し、そこに造粒液を滴下して湿式造粒を行い、次に整粒、乾燥、水分値および粒度分布の確認を行った後に管理範囲に適合していることを確認し、打錠するという機械であった。ようやく生産機が完成したところだそうで、1時間に30kg処理する能力があるとのことであった。スケールアップによる品質への影響を考慮しなくてもよく、同じものを大量に作る場合には適した機器であると感じた。

2つ目に研究開発用の流動層造粒機を紹介いただいた。500g~1kg程度の粉体を処理できる機器であり、缶体ユニットを入れ替えることで流動層造粒、遠心転動造粒、転動流動造粒、ワースターコーティングが実施できる。通常の流動層造粒機が最も販売量が多く、微粒子コーティングを行うためか、従来のトップスプレーではなくサイドスプレーを採用することが多い。実生産機についても、すでに保有している流動層造粒機の一部を改良するだけでサイドスプレーが実施できるようになるため、採用されることが多いのではないかとのことであった。流動層造粒機以外では転動流動造粒の購入量が多く、ワースターのようなボトムスプレー方式のものはあまり採用されていないとのことであった。

3つ目に錠剤印刷機について紹介いただいた。素錠への両面印刷、割線認識が可能であり、錠帯にも印刷することが可能である。カメラで確認しながら印刷を行うため、印刷後の検査機が必要ない。

アズワン
ニトリル手袋について紹介いただいた。飲食店による異物混入事件は記憶に新しいが、製薬業界も決して他人ごとではない。本手袋は青色に着色しているため、万が一混入しても分かり易くしている。また薄手にすることで、1枚当たりのコストを削減し低価格で提供できる。厚くすることで破れにくい手袋も作成できるが、経時的にゴムが劣化し強度が低下することから、使い捨てで使うことを前提として薄くしコスト低減に努めた。

以上のようにセミナーに参加し、メーカーと面談することで最近の情報を収集した。

今回は包装、印刷に注目していたが、工夫の施された包材や錠剤印刷機の動向を知ることができた。

製剤業界の技術発展は、患者さんの負担軽減やアドヒアランスの向上、薬剤師の調剤業務負担軽減など貢献することが多い。今後とも、最新技術を紹介していきたい。


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